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福島県産の米の全袋検査

2012/02/26 13:33
福島県が、平成24年産米の放射性物質のために、全袋検査を計画している。さらに、1袋ごとに、QRコードを利用して、検査情報を表示するのだそうだ。50億の予算を計上している。

手厚い検査と情報開示は、一消費者として望むところであるが、もっとよい方法はないものか、考えてみたい。
福島県の米の生産量は平成23年で35万6千トン。
この量に対して、もし50億で済むのであれば、費用は1.4円/kg。検査はもう何年か続けることになるだろうから、それも考えれば、もっと安いかもしれない。本当にこの50億によって消費者が福島県産の米を避けることをやめることができるのであれば、決して無駄ではない。

ただ、検査の費用は、50億では済まないだろう。この50億の内訳が示されていないが、検査にあたる人や、ベルトコンベア式の設備を設置する場所のコストは、きっと別だろう。
また、玄米を入れた袋を、検査機器のある場所に持ってこなければいけない。これは生産者の負担になるのだろうか。

35万6千トンをすべて1袋30kgの紙袋に入れると、約1200万袋。ものすごい数である。もっと減らせないものだろうか。
同じ田、同じ水で栽培された米であれば、あまりばらつきはないだろう。福島県の水田1筆あたりの面積がどれくらいかはわからないが、仮に30aと仮定し、反収600kgとすれば、20万筆、サンプル20万検体だ。うーん、これでもまだまだ多い。懸念の少ない地域については、同じ水系・同じ土壌・同じ栽培方法なら、1件でよいことにするとか、さらに合理化すべきだろう。カントリーエレベータに集荷され、数百トンという大きさのロットで計測できる場合もあるはずだ。
また、紙袋に入れて集荷した段階で検査するというのも、運ぶためのコストを生んでしまう。全国にある検査機関に検査を委託することも困難になってしまう。

例えばロットごとに1kg程度のサンプルを生産者から集め、検査してはどうだろうか。

仮に20万のサンプルを計測しなければならないとしても、仮に1検体10分、1時間で6検体を計測できたとして、20台をフル回転させれば、3ヶ月程度で(つまり年末までに)全ロットを計測できそうである。
そして、検査結果を生産者に知らせて、その該当するロットの紙袋に、QRコード入りのシールを表示してもらえればよい。農産物検査をするなら、そのときに表示してもよいだろう。
生産者には、ロット(例えば水田)ごとに区分管理してもらう必要が生まれるが、現状でも品種ごとの区分管理をしているので、それほど大きな追加の負担になるとは思わない。それにロット(水田)ごとの区分管理をせずに全袋検査をしたら、高い値が検出された場合に、どの水田に問題があるのかが分からず、翌年の対策に生かせない。

全袋検査ではなく、全ロット検査。いかがだろうか。
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TPPと戸別所得補償

2011/10/31 09:47
TPP交渉参加をめぐり、議論が沸騰している。
農林水産省が、無関税でも現在のレベルの国内農業を維持するために、戸別所得補償の予算があと3兆円必要だ、としている。負担を単純に割り勘すると、4人家族の家計なら、1年あたり約10万円の増税だ。
この負担は小さくない。しかし、価格支持を伴わない直接支払いならば、農家の所得を増やすというよりも、農家の出荷物の価格を引き下げる方向に作用する。
家計が支払う米、小麦、バター、砂糖、それらを原料とするさまざまな加工品の価格が下がる。結果的に、これらの価格の値下がりのメリットと、その3兆円の国民負担および関税収入の喪失とを比較すると、たいした差がないのではなかろうか。
副次効果もある。いま、食品工場の海外進出が続いているが、国内の農業生産が維持されれば、農業だけでなく食品製造業の国内での雇用を維持しやすくなる。また、主食への支出が多い家庭(例えば、うちのような、育ち盛りの子どもがいる家庭)ほど、値下げのメリットが大きい。
多くの国民、とくに都市部の勤労者は、戸別所得補償について、所得が都市勤労者から農家に移転させるものだと思い込んでいる。価格支持を伴う直接支払いなら、そのとおりなのだが、価格支持をしないならば(輸入品が安く入ってくるのだから、価格支持をしようがない)、上述のような消費者へのメリットがある。
こうした、戸別所得補償の効果を、国民に説明してほしいな、と思う。

そもそも、戸別所得補償という言葉が、農家の所得そのものを維持するのが目的であるかのような誤解を招く。おそらく、民主党が農家にそのように誤解させたいのだろうが、農業者は家族経営ばかりではないのだし、この際、別の呼び名にしたらよいと思う。

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ヴィシソワーズ

2011/08/21 17:39
先週の木曜日の朝、のどと舌に痛みを感じ、手足の指に発疹があることで疑惑を固め、医者に行った。皮膚科は断定しなかったが、勧められて次に行った耳鼻咽喉科に「おそらく手足口病でしょう」と判定された。
1歳の二男が、先月手足口病と診断されており、ここからウィルスがやってきたことは、ほぼ間違いないだろう。
その1週間くらい前から、足に靴づれができやすかったり、口内炎ができたりしていたのだが、その理由もわかった。
厄年を越えて、手足口病になったことに、ちょっと驚いた。
会話が困難なので、仕事にならない。重要な打ち合わせを除き、仕事を休ませてもらった。
家族との会話も、口やのどを使いたくないので、筆談を使ったりする。8歳の長男は、おもしろがって自分も紙に鉛筆で書いている。読み書き能力の向上のためにいいかもしれない。

大人でも手足口病になるんだな、と思ってwebを見てみると、結構重症で苦しんだ方がおられる。
http://hpog.blog.ocn.ne.jp/okera/2006/09/post_b989.html
非常に参考になる。回復まで10日もかかるのは困るな、と思って読んだのだが、私は4日目にして、まだ回復の兆候がない。

現在、唇の内側と歯茎に、発疹と、それがつぶれたと見られる口内炎が、たくさんできている。舌や喉もいたい。よく見えないけれども、やはり発疹や口内炎があるのだろうか。手や足の発疹は、とくにかゆみがない。靴づれ以外は、とくに困らない。今日は微熱と頭痛がある。

一番困るのは食事。口に入れたときに、口全体がしみて痛い。そして飲み込むときに喉が痛い。
米粒はちょっと食べれず、どろどろのおかゆにして食べる。牛乳やアクエリアスは、わりと飲みやすい。
コンビニでプリンや杏仁豆腐を買ってきて食べる。これもいける。ヴィダーインゼリーも試したが、プリンや杏仁豆腐のほうが、カロリーが高くて、しかもおいしい。

昨夜は、ヴィシソワーズを作った。これはいける。今朝も、その残りを食べた。
今日の昼ごはんは、ゆるゆるのすいとん。夕食は何にしようかな?
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ありの行列

2011/07/10 23:00
日曜日の午後。
長い昼寝から目覚めた二男1歳に遅めの昼飯としてうどんを食べさせる。

暑がる長男8歳には、宿題にとりかかることを条件に、エアコンの利用を許す。彼は宿題をはじめる。課題は、以前学校でやった国語のテスト4回分の訂正。先生が×印を付けた欄を消しゴムで消して、直す。漢字の問題のように辞書を引けばわかる問題の場合は、辞書を引かせればよい。でも、多くの問題は、計算間違いの直しとは違って、本人だけでは解決できない。「分からないところは、お父さんに聞きなさい」と先生はおっしゃったそうだ。お父さんか、ふーん。

「ねー、お父さん、どうしてこれが間違いなの?」
教科書に載っている、ウィルソンによるありの行列の研究をわかりやすく解説した説明文を読み、問題文に答える。なかなか、×印が多くて、、、現実は厳しいね。

どうして間違えたのか。
例えば「この研究で分かったことから、ウィルソンは、何を知ることができましたか。」という問題。
うちの少年は、「ありがおしりからとくべつなえきを出して、、、」と細かな字でたくさん書いて、×印。
回答欄のサイズや、本文と質問文の表現の共通性等々から推測すると、正解は「ありの行列ができるわけ」そのものらしい。
しかしこの回答案に、彼は納得しない。彼の反論を要約すると、それでは
「知ることができたことにはならない」。その「わけ」の中身を説明しなければ、答えとして意味がない、と考える。
科学をするならば、その姿勢で有望だと思いたい。でも、国語のテストの出題者が求めている答えを推測できるほうが、まあ、得だ。

かといって、出題者が求めている回答を推測するノウハウを小学生に教えるのは、なんだか気が進まない。

先生、私は「ありの行列」のテキストは好きですが、このテスト問題に答えるのは、あまり好きではありません。
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原発をやめるコスト

2011/06/14 21:52
原発をすべて停止すると、石油など化石燃料の購入増のために、3兆円超負担が増える、との試算を経済産業大臣が公表した。
http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20110607/siryou3.pdf

あらっぽい推計だろうと思うけれど、こうした数字が示されると、議論をしやすくてよい。
原発を続ける場合には、地震・津波に対する安全対策の強化や、次の原発事故のための損害賠償基金積み立てなど、大きなコストがかかるだろう。一方、原発をやめて電力の価格が上昇した場合には、電気を節約したり、自社発電したり、電気以外のエネルギーをつかったりして、結果的に電力会社から購入する電力は少しは減るだろう。
だから、原発を続ける場合とやめる場合とで、国民の負担がどれくらい変わるのかを示してほしいな、と思う。

仮に、3兆円負担が増えて、それが利用者の電気料金に負荷されたとしよう。
電力10社全体で、1年間の販売電力量は9,064 億kWh。3兆円をこの電力量で割ると、3.3円/kWh。私の自宅では、1ヶ月の電力使用量は300kWhくらいである。ということは、だいたい1000円アップだ。
月々1000円でこれだけの被害をもたらす原発をやめられるんだったら、やめたほうがいいように思う。

ただし、電力消費は家庭より事業所で多い。経済産業省としては、工場が海外に移転して雇用が減る、と言いたいようだ。でも、すでにたくさんの工場が海外に移転している。電力が少し上がっただけで、移転が進むものなのかな、と思う。
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風評被害という言葉は適切ではないけれど

2011/06/06 23:47
28日のこのブログで、原子力損害賠償紛争審査会が準備していた「原子力損害の範囲の判定等に関する第二次指針」での「風評被害」という言葉の使い方がおかしいし、責任を不明確にする恐れがあるのではないかと書いた。
その後、31日に発表された指針を拝見したところ、この風評被害という言葉の使い方について、きちんと考察がされていた。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/houkoku/__icsFiles/afieldfile/2011/05/31/1306698_1_1.pdf

この指針案は、風評被害を以下のように定義した。

この指針で「風評被害」とは、報道等により広く知らされた事実によって、商品又はサービスに関する放射性物質による汚染の危険性を懸念し、消費者又は取引先が当該商品又はサービスの買い控え、取引停止等を行ったために生じた被害を意味するものとする。

そして、

「風評被害」についても、本件事故と相当因果関係のあるものであれば賠償の対象とする。

とした。「風評被害」という言葉を充てることは適切でないと思うけれども、この判断は妥当だと思うし、私は賛成である。
そのうえ、この表現が望ましくないことも告白している。

そもそも風評被害という表現自体を避けることが本来望ましいが、現時点でこれに代わる適切な表現は、裁判実務上もいまだ示されていない。

いま、ドイツでの0104による健康被害が報じられている。ドイツの政府機関がスペイン産キュウリへの疑念を示し、EUの機関もこれを伝えたが、検査の結果その疑いが証明されなかったため、スペインが賠償を求めている。実際、ドイツの首相は陳謝しており、賠償が行われるようでもある。
これらの記事を日本の記事で読むと、やはり「風評被害」「うわさ」といった表現がされる。たとえばこれ。

風評被害の補償要求へ=キュウリの大腸菌感染疑惑−スペイン首相
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011060200913

しかし、海外の英語のニュースをよむと、風評被害にあたる言葉は出てこない。和訳すると「誤報による損害」といった感じだ。

しかし、政府機関が最新の情報に基づいて、確定的ではないせよ消費者の被害をなるべく小さくするため、予防原則に基づいて疑いを表明したのであって、風評とかうわさとか表現するのはおかしい。
たとえ、間違ったら事業者に経済的損害を負わせることになるとしても、多数の人命にかかわる問題なのだから、警告は発すべきだし、警告が誤りだと分かったら謝って訂正し、補償すべきであろう。
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風評被害か?

2011/05/28 22:12
本日付の朝日新聞朝刊では、政府の原子力損害賠償紛争審査会による原案を紹介している。

「農産物の風評被害、全品目を賠償対象 紛争審2次指針案」
 東京電力の原発事故に伴う損害賠償の範囲や目安を定める「第2次指針」の原案が27日、判明した。福島、茨城、栃木、群馬の4県の全域と千葉県の2市1町の農産物について、全品目を風評被害の賠償対象と認定する内容が盛り込まれている。政府の原子力損害賠償紛争審査会(会長=能見善久学習院大教授)が、31日の会合で決める予定だ。

 原案によると、4月までに政府から何らかの農産物の出荷制限(停止)を指示された区域は、すべての農産物を風評被害による賠償の対象とした。自治体の要請で出荷を自粛した区域も、同じように風評被害を認定する。買い控えや取引停止によって生じた営業上の損害や、労働者の減収分が、被害額となる。

 福島、茨城、栃木、群馬の4県は、ホウレンソウなどが県内全域で出荷制限を受けたため、県内の農産物すべてが風評被害を認定される。千葉県内は2市1町に限ってホウレンソウなどが出荷制限されたので、この地域のみが対象となる。

 畜産物と水産物も、農産物と同じルールを適用。福島、茨城両県の全域で、風評被害が認定される。水産物の出荷制限や出漁自粛の対象はコウナゴだけだが、すべての水産物を風評被害による賠償対象とした。
.

うーん。これは風評被害なのかなあ。
38面にはつぎのような解説がある。

「風評」という言葉は、根拠のないうわさに基づく不安心理として使われることもある。だが、審査会は風評に基づく消費者の買い控えの行動を「合理的」とみなし、風評被害を深刻な実害ととらえている。


放射性物質が放出され、さまざまな農水産物が汚染されたことは事実だ。
政府は、検査をして、基準値を超えた場合に、その地域・その品目について、出荷制限をする措置を取ってきた。その周辺地域や、類似した品目について、十分な検査結果を提供したとはいえない。検査機器のキャパシティの限界から、特に3月から4月はじめごろにかけては、十分な検査と情報提供ができなかったのは理解できる。結果として、消費者は、自分が購入するものがどれくらいのリスクがあるかの情報を得ることができなかった。しかも、微量の放射性元素の摂取でも、その量に比例して、わずかであっても、がんになるリスクが増えると考えられている。そのような情報をもとに、なるべくリスクの小さそうな食品を選択しようというのは、審査会も認めているとおり、合理的判断である。

それを「風評」と呼ぶのは、おかしい。

さまざまな食品事故が起きたとき、消費者が手にする食品にも類似したリスクがあるのか、それともその事故とは関係ないのかは、直ちには判断できないことが多い。原因や汚染個所が明らかになり、その影響範囲が明らかにされることによってようやく、消費者は安全であるかそうでないかの判断ができる。
すでに「リスクは十分に低い」と判断できる状況にあるのに、あいかわらず「リスクが高い」との根拠のない噂が流布していて、それを信じて消費者が購入を避けるとしたら、「風評被害」と言えるだろう。

安全であるとの判断ができない間、消費者が買いたがらないのは当然で、売れない。その不利益を「風評被害」と呼ぶのは、おかしい。

なにか別の言葉を作って使うべきではないだろうか?
消費者が入手できる情報ではリスクが不確実であり、それを回避することによって、供給側に生じる被害。
「不確実リスク回避行動被害」、とか。
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